寄せては返す波のように

前回はそれこそ数年ぶりに宇賀神先生との楽しい思い出話をこのブログに書くことができました。

とても嬉しかったです。

正直なところ、宇賀神先生の楽しくて不思議な話を書きたいとこのブログを始めたはずですのに、今は何かを書こうとすると出てくる言葉は私の嘆きばかりで、宇賀神先生にも申し訳なく思っておりました。

ですがこの悲しさもまた私の、あるいは私と宇賀神先生との人生の一部ですから、とにかくこの思いを吐き出してしまおうと思っております。

そうしないと今の私は悲しみが心に蓋をしてしまっていて、宇賀神先生の楽しい思い出話も書けないような気がするのです。

悲しい思いも寂しい心も吐き出したその先に、パンドラの箱からすべての悪が出てしまった後に最後に希望が残っていたように、私にもまた楽しい話を屈託なく書ける日が来るかもしれません。

その日が来ることを願い、書き続けております。

そして今はまだ、前回のように楽しい思い出話を書いたり思い出した後は、必ず揺り返しが来ます。

感情の揺り返しがきます。

今はまだ誰にも会いたくないとほぼ引きこもりの生活をしておりますが、それでも両親や弟家族と会ったときは楽しくて自然とたくさん笑っています。

自分でもこんなに笑えるようになっているんだと驚くくらい、笑っています。

ですが皆と別れた後、この揺り返しが必ずと言っていいほどやってきます。

楽しかった分、不思議とその楽しい思いを相殺するかのように、その後にまた大きな悲しい思いが襲ってくるのです。

ただ、このような心の動きも、今は落ち着いて静観できるようになりました。

自分で自分の泣く姿を見て、

「あぁ、やっぱりまた色々なこと思い出してよけいに悲しいんだね。仕方ないよね。」

と静観しております。

「仕方がない。仕方がない。」

と自分に言い聞かせております。

宇賀神先生は、

「ポジティブ思考だなんて嘘だよ。」

とおっしゃっていました。

「ポジティブがプラスでネガティブはマイナスなんだったら、プラスばっかりがいいなんておかしな話だよ。」

と。

「そんなら試しに息を吸ってみろ。吸うことがプラスなんだから、吐いちゃだめだよ。吐くのはマイナスだから。吸って、吸って、吸って・・・吐いちゃだめ!なんて、無理な話だよ。」

と。

私からしましたら、超ポジティブな明るい宇賀神先生なのですが、その先生が揶揄するようにポジティブ思考は嘘くさいとおっしゃってました。

まぁ、宇賀神先生は世の中の風潮にはあまり流されない人でしたね。

ポジティブがいい!と叫ぶ世の中の風潮にも迎合しない人でした。

自分は超ポジティブ人間のくせに、ねぇ。

宇賀神先生から受け継いだたくさんの教えに、今でも救われております。

治療や加持祈祷といったことから、こんな小さな心の動きのことでも。

楽しい話をした後に、揺り返しでまた何故だか悲しみが心を襲ってきても、仕方がないと思えるようになりました。

息を吸えばその後は吐き出さないといけないように、プラスの後にマイナスが来てもいいのだと。

無理に笑ってばかりでなくていい。

自然に笑って、自然に泣いて、それでいい。

波も寄せたら返すのですから。

外で笑えたら、家で宇賀神先生の前で泣いておいたらいい。

寄せては返す波のように、息をして。

合掌