アメリカの龍穴でスーパーマンに助けられた話

前回の記事でスーパーマンがキーワードになって、歌に込められたメッセージに気づいたことをお話ししました。

それで思い出しましたのが、宇賀神先生と一緒に旅行したアメリカでスーパーマンに助けられてしまった話です。

宇賀神先生が佛様の国に旅立たれる前に書いた最後のブログ記事が「アメリカの氣を感じる」でした。

この記事の最後に「次回はアメリカの龍穴のことについて触れたいと思います」と書いたまま更新が止まってしまっていました。

その後の記事はすべて、宇賀神先生が佛様の国に旅立たれた後のものですね。

今日はその龍穴のことと言いますか、その龍穴でスーパーマンに助けられてしまったエピソードを書いてみたいと思います。

久しぶりに楽しい思い出話を書ければと思います。

ニューヨークの街を歩いていて、先の記事にありますように宇賀神先生が大きな大きな氣の流れを感じられて、それが噴き出してくる元、つまり龍穴(りゅうけつ)はどこだろうと地図をご覧になり、「ここに行こう。」と言われました。

それはどこかって、うーん、まぁニューヨークをご存じの方はすぐにピンと来られるのではないでしょうか。

やはり古くからの自然が残っていて、そこに行くと人々が楽しい気分になったり元気になる場所ですね。

敏感な方は何か特別なものを感じられるかもしれません。

その龍穴はちょっとした岩場の奥にありました。

こんな都会の中に、と少々驚きますが、それだけ何か大切な力を感じられて保存されてきたのでしょうか。

宇賀神先生は片目の視力を失っておられましたので、野袴に杖をつく格好で歩いておられました。

私は着物でしたし、足元は二枚歯の下駄を履いていました。

私は草履より下駄の方が好きでしたので、草履ではなかったのです。

やはり岩場で下駄はちょっと不安定でしたが、慣れておりますので、自分で言うのもなんですがお猿さんのように身軽に上手に下駄で歩けました。

宇賀神先生と手をつないで、お互いに支えあうようにその岩場を登っていきました。

すると周りにいらしたアメリカ人の方達が口々に

「Need any help?」(手助けはいるかい?)

と声をかけてくださいました。

さすがヒーロー精神とボランティア精神にあふれたアメリカ!とちょっと感動しましたね。

本当に何人もの男性が声をかけてくださいました。

とても嬉しかったですが、二人で歩けていましたので

「ありがとうございます!大丈夫です!」

とお答えして二人で歩き続けました。

龍穴はその岩場の奥にありました。

何とか杖と下駄でたどり着き、わりと長い間その場所に居たと思います。

宇賀神先生はそこで瞑想し、氣をとっておられました。

段々と日も暮れてきて、暗くなってしまっては足元が危ないですし、もう充分に氣もとれたからと、帰ることにしました。

ただ私は元来た岩場は帰るのには少々大変な気がして、別のルートで帰ろうと宇賀神先生に言いました。

そちらの方が少し簡単に行けるのではないかなと思いました。

ところが歩きはじめて、やっぱりこっちも大変な岩場かなぁと思い始めました。

ですが戻るのもまた大変ですし、戻って元来た道も同じ大変さかな、進むしかないかな、と迷いながら進んでおりました。

すると、どこからともなく颯爽と一人の若い男性が現れて、

「大変そうだね!手伝うよ!」

と、サポートを買って出てくださいました。

「きつい方のルートを選んじゃったね!」

と言われてしまいました。(やっぱり元来た道の方がまだマシなようでした。)

ちょっと薄暗くもなってきていましたし、岩場が思ったよりも危ないなぁと思っておりましたので、私は

「ありがとうございます!お願いします!」

と答えました。

するとその男性はなんと宇賀神先生を肩に担いで運ぼうとしてくださいました。

軍人さんか消防士さんかしら。

たしかにとても身軽でいらして、運動能力も高くていらっしゃいそう。

ですが宇賀神先生も歩けていましたので、

「彼は歩けるので大丈夫です!ただ、万が一こけそうになったら支えてあげてください。」

とお願いしました。

「オーケー!」

と、ほがらかに答えられ、彼はずっと最後まで宇賀神先生のそばについて見守ってくださいました。

幸いなことに最後まで危ない思いをすることなく岩場を降りることができて、平らな地面に戻ってくることができました。

日本人でしたらここで

「せめてお名前だけでも・・・。」

とお尋ねしたいところでしたのに、その人は安全な場所に着くやいなやクルッと踵を返して来たときと同じように颯爽と走り出されました。

まるでハリウッド映画で見たスーパーヒーローのようです。

困っている人がいるとどこからともなく現れ、助けたあとはお礼を言う間もなくサッと立ち去ってしまう。

本当に映画そのままのヒーロー精神でした。

しかも驚いたことに、まさかの彼のTシャツの背中には「S」の文字が。

そう、あの映画のスーパーマンの五角形に囲まれたSの文字が書かれていました。

私は思わず、彼の後ろ姿に向かって

「ありがとう、スーパーマン!」

と叫びました。

すると彼は振り向きもせずハハッと笑って手を振り、そのまま走り去られました。

アメリカの龍穴でスーパーマンに助けられちゃったよー!

と、ありがたいやら楽しいやらで宇賀神先生と大笑い。

なんて象徴的なんでしょう。

アメリカの氣がアメリカの人の気質を決定し、それはやはりヒーロー精神だったりボランティア精神だと思うのです。

国のカラーといいますか。

それを象徴するかのような出会いを、まさにその国の氣が噴き出しているところで体験しました。

ちょっとできすぎですよね。

宇賀神先生は本当に運が良く、また楽しい人でした。

一緒に暮らして一緒に旅しておりますと、喜劇のような楽しいことばかりでした。

旅なんて本当に珍道中という言葉がぴったりで、人生という名の旅もまた珍道中だったと言わざるを得ません。

あぁ、またあの楽しい旅を宇賀神先生としたいなぁ。

「夢は枯野をかけめぐり」

と歌われた松尾芭蕉さんのお気持ちが切ないほどよく分かります。

せめて夢の中だけでも、宇賀神先生とかけめぐりたいなぁ。

合掌