前回ご紹介した神泉苑で、宇賀神先生の純粋な心にハッとさせられ。
では私はどうしたかと言うと、ですね。
お恥ずかしながら。
そう、それでも、出家とは名ばかりの私は、
「いえいえ、お寺さんから直々のご許可のある願い事のチャンスなんて滅多にないこと。大変、たいへん恐縮ですが、今回ばかりは何卒お許しいただきたく・・・。」
「だってだって、私はこの素晴らしい心を持つこの人を、世界中の博物館に連れて行ってあげたいのです。しかも長時間のフライトは宇賀神先生もしんどいのでフルフラットのシートで寝られる、ファーストクラスの飛行機で。」
「そしてそして、日本国中の氣の強い温泉にも連れて行って、好きなだけ湯治させてあげたいのです。」
「そのためにも、ぜひ宝くじで億のお金が当たりますよう、何卒、なにとぞよろしくお願いいたします・・・!!」
と、お願いしようと固く決心しておりました。
我ながら単純すぎる(かつ欲張りすぎる)願い事だと思いましたが、それ以外の願い事はありませんでした。
というのも、ありがたいことに私はすべて満たされて幸せだと、自分でも思っていたからです。
宇賀神先生が元気で幸せに笑って生きてくれている。
楽しく仕事してくれている。
私の両親も弟家族も皆元気に幸せに生きている。
私も宇賀神先生と一緒に幸せに暮らせている。
雨風をしのげる温かい家と、毎日のご飯と、着るものと、必要なものもすべて与えられている。
本当に、ありがたいほど恵まれた幸せな人生だなぁと思っていました。
あともし足りないものがあるとすれば、ファーストクラスの飛行機に余裕で乗れるくらいの、自由になるお金くらいか、と。
うーん、さすがに罰当たりな欲望ですよねぇ。
しかも宇賀神先生の勉強会で、「願ったことは100%叶えるのは難しいとされているから、願望の120%くらい願ってやっと30%到達くらいの可能性だ(ちょっと正確な数字は忘れてしまいました。すみません。)」と言われた記憶がありまして。
そうか、なら10億円くらい願わないと1億円すら到達しないかもと、10億円お願いすることにしました。
いえ、笑ってバカにしてくださって結構ですよ。
でも私は、本当に宇賀神先生をファーストクラスの飛行機に乗せて、大英博物館や世界中の博物館に連れていきたかったのです。
本気で、このばかばかしいお願いをしようと思っていました。(恥ずかしいから宇賀神先生にも内緒で。)
それで、行きました。
生まれて初めて、善女龍王様をお祀りしている神泉苑へ。
少なからぬご縁を感じ、お会いしたいと思っていた佛様でした。
ゆっくりと善女龍王様にご挨拶させていただいてから寺務所でお守りをお授けいただき、いざ池の橋を渡りに行きました。
思ったより大きいお池に、綺麗な朱色の欄干の丸い橋がかかっていました。
お守りを胸に、この橋を渡るのか、とワクワクしましたね。
橋自体はそんなに長いわけではありませんので、楽しい気分を味わいながらゆっくりと渡りたいなぁと思いました。
そして宇賀神先生に先に行ってもらい、そのすぐ後に続きました。
ちょうど丸い橋の真ん中の一番高いところに来てお願い事をと思った瞬間、目の前の光景に、私はまた文字通りの衝撃を受けました。
「あっ・・・もう、10億円の当たりくじ(人生)に当たってた・・・。」
なんかもう、ばかばかしいくらいめでたい人間だと自分でも思いますが。
目の前の光景を見て、本当に心底、もう既に10億円が当たったような素晴らしい価値のあるものをいただいていたんだということに、今更ながらの衝撃を受けたのでした。
目の前の光景とは、
穏やかな日差しのもと、神聖な場所の神聖なお池に、佛様がいらして、鳥の声が聞こえていて、龍をかたどったお舟が優雅な姿を見せていて、綺麗な朱色の橋の欄干が鮮やかに見えて、そして私のすぐ目の前に大好きな宇賀神先生がいてくれてる。
宇賀神先生が幸せに笑ってくれていて、いつも一緒にいられる。
ここを、この世を天国と言わずして、どこに天国があるのだろう。(佛教徒なら極楽と言うべきか?)
本当に、言葉を失いました。
すぐに、心の中で葛藤が始まりましたねぇ。
「どうしよう・・・。欲しい、くださいと願おうと思ったものはもう既にいただいていましたなんて、もうこれ以上お願いできない?いやいや、でもファーストクラスが・・・。いやいや、でももうもらってるよ・・・。どうしよう。ありがとうございます。本当に、美しい世界です。幸せすぎる人生です。でも宇賀神先生を大英博物館に・・・。」
何という単細胞な葛藤でしょうねぇ。
でも、これが嘘偽りのない、背伸びの無い等身大の私の心です。
恥ずかしくて尼僧のはしくれです、だなんて口が裂けても言えませんね。(言ってる。)
「願ったものは、もう既に与えられていました。」
という言葉をどこかで聞いたことがあります。
それに気づくことが、満ち足りた人生を歩む方法なのだと。
まさにその通りでしたねぇ。
もう既に、願おうとした10億円の当たりくじに、いえそれ以上のものに、当たっていたなんて。
神泉苑の橋の真ん中で、気づかされました。
では、今となっては。
その、私が大好きで大好きで仕方のない宇賀神先生が阿字のふるさとへ旅立たれた今、私はせっかく当たった10億円の当たりくじを失ってしまったのでしょうか?
せっかく、せっかく当たったって、あんなに喜んでたのに?
私はその当たりくじは、失くしたとは思っていません。
宇賀神先生がよく勉強会でおっしゃっていたように、「天の銀行に預けてある」と思っています。
宇賀神先生は功徳を積むことを天の銀行に預けるというように例えておっしゃっていたように思いますが、私は私の当たりくじを天の銀行に預けているのだと思うようにしています。
ちょっぴりやせ我慢も入っているかも知れませんけれど。
そしてこの私の天の貯金は、私が死ぬときにまた返してもらうのです。
私が死んだらまた、宇賀神先生に会えるから。
そのときに最高の当たりくじがまた、私のもとに返ってくるんだ。
それまでちょっと、天に預けておこう。
合掌