宇賀神先生が小学校5年生の頃、香港風邪と呼ばれる、今で言うところの新型ウイルスが世界中で蔓延しました。
そのウイルスは日本にもやってきて、まだ子供だった宇賀神先生もかかってしまわれました。
呼吸が苦しくなって熱が出て、とてもつらかったことを覚えておられるそうです。
手に持った鏡の前で口を開け自分の喉を見てみますと、奥の方が赤くはれていて、「だから呼吸が苦しいんだと思った」とおっしゃいました。
「そしてこのはれが段々ひどくなって、最後に喉がつまって呼吸できなくなったらどうしようと、子供心に怖かった」と。
その頃の宇賀神先生のお家は、貧乏な暮らしをしていました。
もちろん戦後は日本中が困窮していた時代ですが、先生いわく「学校の給食費も払えなかった」そうですから、子供心にも自分の家は他の家庭より裕福ではないと感じておられたのでしょう。
当然、お医者さまに容易にかかれる経済状態ではありませんでした。
宇賀神少年はお父様に言いました。
「父ちゃん、熱が出てきたよ。しんどいよ。」
するとお父様は答えられました。
「そうだな、熱が38度を超えたら、医者に連れて行ってやる。」
ほどなくして、熱が38度を超えました。
「父ちゃん、熱が38度を超えたよ。」
するとお父様は答えられます。
「そうだな、近所で色々聞いてきたが、この風邪はどうやら医者に行っても治んねぇらしい。医者に行ってもダメだ。ほら、これやるから、おさすりさんのとこに行きな。」
そのときお父様から300円ほどのお金を渡された、と宇賀神先生は記憶しておられます。
多分はじめからお医者さまのところへ行かせる余裕はなかったのだと思われましたが、仕方なく宇賀神少年はそのお金を持って、近所の「おさすりさん」あるいは「おさすりばあさん」と呼ばれている方のところへ行きました。
そこには独り暮らしの年配の女性がおられました。
そのおさすりさんは、
「どれ、口を開けて見せてみな。」
とおっしゃり、宇賀神少年が口を開けて見せると、
「おお、喉がこんなにはれて、かわいそうに。痛いだろう。よしよし、こっちへおいで。ここに座りな。」
と、奥にうながされました。
宇賀神少年がおさすりさんに言われた通りに座ると、おさすりさんは少年の頭の上から手ぬぐいをかけ、それを首の横側にくるように垂らして、手ぬぐいの上から少年の首の横をさすりはじめました。
しゃっしゃっしゃっ・・・
とても軽い手加減で、手ぬぐいの上から耳のあたりや喉のあたりをさすってくれます。
痛くなく、とっても気持ちよかったんですって。
そうしておさすりさんがしばらーく宇賀神少年の喉のあたりをさすられた後、
「はい、いいよ。どうだい、つばを飲み込んでも痛くないだろ?」
と尋ねられました。
宇賀神少年は言われた通りにつばを飲み込んでみてびっくり、あれほど重く痛かった喉が痛くありません。
「痛くない!」
そして、鏡で自分の口の中を見てみました。
「喉の奥のはれがひいてる!」
「これで大丈夫だから。」
宇賀神少年は不思議でした。
「しゃっしゃっしゃっ」だけで、あんなにしんどかった喉のはれてたのが無くなったの?
ですが、そのおさすりさんの言葉通りそのまま喉のはれは無くなり、ほどなくして熱も下がり、宇賀神少年は無事に元気を取り戻しました。
宇賀神先生は、
「今思えばリンパマッサージのようなことをしてくれたんだと思う。」
「あのおさすりさんも、今のわしの仕事の原点だ。」
と、おっしゃいます。
やはり子供心にも嬉しかったのでしょう。
お父様に「医者でも治らねぇらしい。」と言われたしんどくて高熱を伴う風邪が、とっても気持ちのいいおさすりさんの「しゃっしゃっしゃっ」だけで治ってしまったんですもの。
もちろん何の検査もしたわけではありませんから、宇賀神先生がかかられた病気が本当に当時流行した新型のウイルスだったのか、ただの風邪だったのかは分かりません。
ですが、いずれにしましても、呼吸が苦しくなるほどの怖ろしい喉のはれと、38度を超えるほどの熱を伴う風邪または感染症が、リンパマッサージもどきだけで回復に向かったのは宇賀神先生が体験なさった事実です。
痛い注射を打つこともなく気持ち良くさすってもらっただけで病気が治ったなんて、よほど嬉しかったのでしょう。
以前にもご紹介しました、日本ターザンとの強烈な出会いとともに、このおさすりさんの体験は宇賀神先生の心に深く刻み込まれました。
(日本ターザン、三浦MAXさんとの出会いのお話はこちらをどうぞ!⇒⇒⇒
「氣」という概念 ― Qi Power あるいは日本ターザンとの出会い その1
「氣」という概念 ― Qi Power あるいは日本ターザンとの出会い その2)
たしかに、宇賀神先生の言動やお仕事ぶりを拝見しておりますと、この日本ターザンとおさすりさんを足して2で割ったような、そんな気が・・・イヤイヤ。
いえいえ、真面目な話、剛柔あわせ持った、と表現できるような氣を感じます。
宇賀神先生のお仕事は加持祈祷です。
その加持祈祷を成就ならしめるもの、根底に流れるものは氣です。
その「氣」の、剛を日本ターザンから、柔をこのおさすりさんから感じとられたのが、宇賀神少年の氣との最初の出会いだったのかも知れません。
・・・ところで、このときの風邪(ウイルス)なんですが、宇賀神先生が「わしが小学校の、確か5年生のときにかかったのは香港風邪だった」と頑なにおっしゃるのですが、いくつかのサイトで調べて見ますと、ちょうど先生が5年生になる少し前に世界的に流行していたのはアジア風邪だと書かれていました。
香港風邪はその10年ほど後ですので、年代が全然合わないんですよね。
ですが先生は、がんとして譲りません。
「だってわしが学校で、『この風邪を引いたときにする咳は、ホンコン!ホンコン!っていうんだよ!』って冗談言ってたら、学校の先生がうしろからパーンと頭をはたいて『世界でたくさんの人が死んでるのに、なんちゅうことを言うんだ!』って怒ったんだから。だから絶対に香港風邪だ。」
ですって。
アジア風邪って、香港もアジアの国ですから、勘違いなさっているのでしょうかねぇ。
よく分かりませんが、とにかく宇賀神先生が学校の先生に頭をたたかれた思い出とともに「あれは香港風邪だった」とおっしゃいますので、今日のタイトルを香港風邪といたしました。
何卒ご了承くださいませ。
人の手には不思議な力が宿っております。
それを意識的に使える人と、そうでない人もいらっしゃいますが、少なくとも誰かに優しくさすってもらえるのは、どなたにとりましても極上の癒しとなります。
まだまだ新型コロナウイルスも油断できない毎日です。
今、すぐそばにいる大事な人の背中を優しくさすってあげるのも、いいアイデアですね♥
さすってもらった人は、アナタのとりこになるかもヨ( ̄∇ ̄)♥
合掌