スジャータという名の。

これは、湯胸茶屋さんの温泉コーヒーです。

onsen-coffee
温泉コーヒー

 

湯峰の温泉水でコーヒーを淹れますと、コーヒーがとってもまろやかになり、いっそう美味しくなります。

残念ながらインスタントコーヒーでは温泉水の香りに負けてしまい、かえってマズくなるのですが(実験済み)、レギュラーコーヒーですと本当に美味しくなります。

湯峰に行き、温泉につかって全身でお湯(氣)をいただき、コーヒーで身体の中からも温泉の氣をいただくのは、とても贅沢な心地がいたします。

 

ちなみに、この湯峰の温泉水は購入可能です。

公衆浴場のすぐ横で販売されており、10リットル100円です。

たくさんのポリ容器をもってきて買われる方も多く、皆さんそのお湯でご飯を炊いたり、お料理なさるそうです。

蛇口から10リットルも温泉水を出しておりますと、すごく高温になりますのでご注意くださいね。

湯筒の源泉温度も90度を超えているくらいです。

 

湯峰でお宿に泊まりますと、温泉水で作って供される湯豆腐や、翌朝の朝食で出される温泉粥も美味しいですものね。

温泉粥なんか、ご飯の「氣」の色そのままに、グリーンに輝いてみえます。

本当に、温泉粥はどなたがご覧になってもほんのり薄緑色。(多分)

 

私は、ときどき普通のご飯でも、それよりももう少し濃いエメラルドグリーンに輝いて見えるときがあります。(→ご飯の「氣」

それは、ご飯の氣の色が、そんな風に見えるのです。(私は色盲ではありません。)

そしてそんなグリーン色を放つご飯は、絶対に美味しい、大当たり!のご飯です。

湯峰の温泉粥をご覧いただけますと、

「そうか、あやのの言っているご飯の氣のグリーン色って、こんな風な色なんだ」

と、皆さんにもご納得いただけるのでは、と思います。

 

話が美味しい方の横道に逸れてしまいました。

 

今日お伝えしたかったのは、湯峰の温泉コーヒーそのものではなく、その左横についているコーヒーフレッシュ(ミルク)の名前の由来のお話。

写真では残念ながら、小さすぎて見えないでしょうか?

 

SUJAHTA

 

スジャータ、

と書かれてあります。

そう、これはかの有名なメーカー、スジャータさんのコーヒーフレッシュです。

そしてこのスジャータという名前は、じつは仏教とご縁が深いのです。

 

これは、仏教の開祖であるお釈迦さまがまだ悟りを開かれる前のことです。

 

ご存じの方もいらっしゃると思われますが、お釈迦さまはもとは北インドのシャカ族(日本語でシャーキャとも書かれたりします)の国の王子さまでいらっしゃいました。

ゴータマ・シッダールタという名前の王子さまでした。

「釈迦」というのは、シャカ族の出身であるという、一族の名前に由来します。

 

シッダールタ王子(お釈迦さま)がお若い頃、父親である王様は、王子に贅沢の限りをさせました。

と申しますのも、お釈迦さまがお生まれになったとき、高名な予言者がある予言を伝えたのです。

「このお方は王になられると世を統べる王となり、出家されると世を救う方となられる」

と。

 

出家などされてはかなわない、王位を継いでもらわないと、と、王様は、シッダールタ王子に春夏秋冬の4つの宮殿を与え、大勢の美女と美味しいご飯と、この世の贅沢といわれるもののすべてで王子を育てました。

王子は、この世に存在する「苦しみ」というものを一切知らずに済むように育てられたのです。

ですがシッダールタ王子はある時その幻想に気づかれ、家族も国も捨てて修行の道に入られます。

この王子の気づきは有名な「四門出遊」のエピソードですね。

 

ただ、お釈迦さまが修行の道に入られたとはいうものの、当時のインドで行われていた修行と呼ばれるもののほとんどは、バラモン教にもとづいた苦行でした。

しかもそれは極端に身体を痛めつけるような、時には死に至るほどの苦行です。

お釈迦さまも最初はこの苦行を色々となさいました。

高名なバラモン教の聖者のもとを尋ねたり、身体を痛めつけたりして、なんとかして悟りを得たいと、何年ものあいだ熱心に苦行を続けられました。

 

しかしある時、断食の修行をなさっていたお釈迦さまは、それこそ骨と皮ばかりになるほどやせ細られ、あわや命を落としかけました。

ガリガリにやせ細ったお釈迦さまの像をご覧になったことはございますでしょうか?

その像は、この悟りを得られる前のお釈迦さまを表しています。

 

そしてその、あわや命を落とすかというほど衰弱しきったとき、お釈迦さまはスジャータという名の女性から乳粥を施されました。

そう、乳(ミルク)で作ったおかゆさんです。

 

スジャータに施された乳粥により元気を取り戻されたお釈迦さまは、苦行には何の意味も無いと気づき、苦行をやめられ、沐浴なさり(身を清め)、菩提樹の樹の下で瞑想を始められました。

そしてやがて、そこで悟りを開かれたのです。

 

お釈迦さまが、極端な苦行には何の意味も無いという気づきを得られた、この乳粥のエピソードに登場するスジャータという女性の名前。

きっとこのエピソードに由来して、コーヒーフレッシュ(ミルク)のメーカーさんもスジャータという名前になさったのでしょうね。

 

湯峰温泉で温泉コーヒーをいただくときに、必ずついてくるのがこの「スジャータ」さんのミルクです。

ここ湯峰の地でこの名前に出会うとき、いつもお釈迦さまのこのエピソードを思い出します。

いいお話だなぁ、と思うのです。

お釈迦さまもお若い頃は迷われ、自らの内に救いを見い出そうともがき、やがて穏やかな世界に行きつくことができました。

涅槃(ねはん)、寂静(じゃくじょう)の世界です。

 

だからというわけではございませんが、宇賀神先生は水垢離(みずごり)よりは湯垢離(ゆごり)を好まれます。

苦行(水垢離)よりは、おだやかな修行(湯垢離)を。

穏やかというより、実は気持ちのいいお修行なだけですが。

いえいえ、本当は水垢離もとても気持ちいいお修行だそうです。

ただ、宇賀神先生は敢えて?なさいません(^-^;)

 

湯峰のお湯につかりますと、涅槃の境地とまでは到底行きませんが、すくなくとも寂静の心地がいたします。

やはり湯峰温泉は信仰の地の、霊泉ですからね。

ただの温泉ではございません。

 

寒がりのワタクシも、水垢離よりはやっぱり湯峰で湯垢離の方がいいかナ( ̄∇ ̄)♥

などと、フトドキなことも少々思いつつ、いつも美味しい温泉コーヒーをいただくのでした。

 

合掌