(年始からの珍道中シリーズその4です。)
夢のように幸せな入院生活3日目の朝、宇賀神先生が予定通り雲仙温泉をチェックアウトなさいました。
お嫁ちゃんのいない湯治生活がよほど味気なかったのか?、先生はなんと朝ご飯も食べずに朝早く山を下りてこられたそうです。
「ええーっ、あの朝のバイキング、私の超憧れ『デザートのアイスクリームも食べ放題♥』も食べんと下りてきたんー?」
と、びっくりして言いました。
そしてそのときハッと気づきました。
半年以上も前から私が楽しみにしていた、朝のバイキングのアイスクリーム&コーヒーも、雲仙温泉につかることも、私は今回ただの一度もできず仕舞いだったんだー(ToT)と。
このリベンジは、いつか必ず!と心に誓いました。
さて、とは言うものの、ちょっとまだお腹の痛みは残っており、これで大阪に帰るべく運転できるかなーと不安ではありました。
とてもじゃないですが全て車で帰るのはつらすぎて、実は入院中にスマホでフェリーの予約は取っておりましたが、その港までの運転も少々不安でした。
フェリーの選択肢は3つありました。
福岡から、大分の別府から、そして鹿児島の志布志港から、のフェリーでした。
私達がおりましたのは長崎の島原市、そこから一番近いのは福岡でしたが、寒波がくるため雪が少々心配でした。
別府も、途中の九重連山の近くを通るときの路面状況とか、心配しすぎかなとも思いましたが、ちょっとためらいました。
一番距離があるとは言え、鹿児島ならいくら何でも雪の心配はないでしょうと思いました。
しかも当初の予定も、雲仙の後は車で鹿児島を巡って帰ろうと、鹿児島近辺のホテルも何泊か予約しておりました。
ですが小鳥を連れておりますので、長時間乗るフェリーの場合はペットも何らかの形で(車の中に置き去りにするのではなく)乗船できるプランのある船でないと、心配で乗れません。
すると、なんとその鹿児島発のフェリーに「ウィズペットプラン」と言って、ペットを自分の部屋に連れて入れるプランがあることを見つけました。
しかも乗船したい日の12月31日に、最後のひと部屋が空いていました。
まさに天の恵み!
これで何の心配もないー♥と、ネットで予約しました。
お値段めちゃ高かったですけど(T-T)背に腹は、ではなく、腹は背に変えられませんでした。
鹿児島の志布志港まで、予約していた薩摩川内のホテルを経由して300km余りの距離です。
入院する前の痛みでしたら絶望的な距離ですが、痛み止めを点滴していただいた後はずいぶんと落ち着いておりましたので、何とか行けるかな、と賭けるしかありませんでした。
万が一腹痛が少々ぶり返しても、2泊3日もかければどうにかこうにか行けるでしょうと、12月29日の朝退院し、31日のフェリーに乗るべく島原を後にしました。
「どぎゃんとかして帰らんとね。」
とおっしゃってくださった婦人科のお若いお医者さまが、最後に痛み止めのロキソニンというお薬を処方してくださいました。
今まで市販の痛み止めなど飲んだことがありませんでしたが、まあ恐ろしいくらいによく効くお薬でした。
退院前に1錠飲んだだけで、最後まで残っていた痛みがピタリとおさまりました。
「ああ、だから(我が家のかかりつけ医の)N先生が以前、『あんな怖い薬を市販して』っておっしゃったんだ。」
と判りました。
あんまりにも痛み止めがよく効きすぎるから、何か重大な病気があっても見過ごすことになりかねない、ということなのかな、と。
やっぱり痛みというサインがないと、病気に対して何らかの手を打とうという気持ちも起きにくいですものね。(経験者談)
とにもかくにも、その時は痛みの原因の見当も少しついていたわけですから、大阪に帰ることを最優先に、痛み止めをありがたく服用しました。
お腹の痛みさえなければ、旅は快適なものでした。
島原から熊本までの1時間程の高速フェリーも、かもめにかっぱえびせんをあげなから楽しく乗っておりました。
かっぱえびせんが船内で「かもめも大好き!」と、売られているのです。
どうやら餌付け?されているようですね。
高速フェリーのお客さんがかっぱえびせんを買われてかもめにあげるものですから、どこからともなくやってきたたくさんのかもめが、熊本までずーっとついてきました。
鳥好きの私にはたまりません。
高速で進む船にピターッとくっついてきて、かっぱえびせんを投げている私達(ほとんどが子供達)に、アイコンタクトをしてきます。
「次はこっちに投げてくれるはず!」
そう期待している声が聞こえます。
かもめに向って投げると、その瞬間にかっぱえびせんめがけて高速船より早く飛び、見事キャッチします。
かもめの素晴らしい身体能力、飛行能力にうっとりです。
(塩分で高血圧にならないかちょっと心配。)
なんと熊本の港に到着してからでもかもめが群がっていて、人の手から直接食べていました。
羨ましすぎるぅー(T-T)
ちょっと残しておけばよかったと後悔しました。
とまあ、そんなこんなで。
問題なくかねてからの予定通り、途中の薩摩川内(さつませんだい)市のホテルまで車で行き、そこに2泊し、九州滞在最終日の朝、そこから志布志港を目指して車を走らせました。
「やっぱり鹿児島はぬくい(温かい)ねー♥寒波なんて全然関係ないくらいやね。」
とか何とか言いながら、ご機嫌で走っておりました。
途中の桜島サービスエリアで休憩し、遠くに桜島を眺め、今度はゆっくり近くで見たいものだと思いながら出発しました。
そして志布志港最寄りのインターで高速道路を降り・・・いえ、実際はインターひとつ乗り過ごしてしまいました。
またドンクサイことしたなー、と思いつつ、ですが「フェリー出港の2時間前には来てください」との指示にも充分間に合うタイミングだなと、あまり気にせず、インターを降りてすぐのコンビニにお手洗いをお借りしに、立ち寄りました。
お手洗いを済ませ、もちろんお借りするだけでは申し訳ないので何か、例えばフェリー内で食べるデザートとか♥買おうと、商品を見ておりました。
すると、なんともゴージャスなプリンアラモード(¥498)が!
ちょっとプリンにしてはゼイタクですが、お腹が痛くて雲仙のお料理もろくに楽しめなかったのですから、これくらい許されるよねー、お正月だしー( ̄∇ ̄)♥と、喜んで手に取っておりました。
すると、車に残っていたはずの宇賀神先生が血相を変えてお店に入って来られました。
「大変だ、綾野さん!カバンが無いーーー!!!」
・・・。
「ええっ!!!」
すると、すぐ近くにいらした店員さんも、
「ええっ!!!」
あの、宇賀神先生がいつもしていらっしゃるウエストポーチが、無いって。
ちっちゃい子が「お腹痛い」ってお腹を見せるように、上着をめくってお腹を見せています。
「大変だ。忘れた。どこかに無くした・・・。」
と。
実は、あまり大きな声では言えませんが、ちょっとした大金がそのウエストポーチには入っていました。
いえ、正直なところ、私達にとりましてはかなりの大金でした。
さすがの宇賀神先生もどうしていいか分からず、お腹を見せたままぼう然と立ち尽くしておられます。
私も、こういうのを「オロがくる」とでも言うのでしょうか、すごく動揺して、両手に大事に持っておりましたプリンアラモードをどうしていいか分からず、近くにいらして一緒にびっくりしてくださった店員さんに「すみません、これ!」とお返ししました。
ただならぬ雰囲気に店員さんも「はい!」と受け取ってくださり、慌てて先生とお店を出ました。
「一体どこに忘れたん?覚えてる?」
「たぶんさっきのサービスエリアのトイレだ。外してポンと置いて、そのまま出てきた。」
「うっそーーー。」
さっきのサービスエリアと申しましても、そこからもう1時間ほども車を走らせておりました。
1時間も前に、あんな大金を。
これはもう絶望的です。
1分後に気づいてトイレに戻るならまだ残っている可能性はあるかも知れませんが、1時間では、さすがにもう無いでしょう。
宇賀神先生も、顔面蒼白でした。
「ああ、初めっからJALの飛行機飛ばんかったもんなー。
そんで高速乗り口(方面)間違えて、西の宮で忘れ物して、島原で入院して、最後がこれかぁ。」
と、さすがにノーテンキな私も落胆しました。
(すみません、また長くなってきましたので、「この後どうなったか?」のオドロキの結末は次回に。)
合掌