コンクリートミキサー車ごと橋げたに突っ込まれた宇賀神先生。
その橋は当時の国鉄、今で申しますところのJRの貨物線の高架橋ですから、ミキサー車により橋とその上の路盤まで持ちあがってしまっては、「ごめん」では済まされません。
修理費用は・・・期間は・・・保険は効くのでしょうか・・会社は・・・!?
宇賀神先生が当時勤めておられたコンクリート会社の社長さんは、
「うちは倒産だー!宇賀神君、なんてことしてくれたんだー!!」
と、電話の向こうで大変な嘆きようでいらしたそうです。
そこに、事故の連絡を受け、宇賀神先生のいらっしゃる現場へ宮城県警の警察官がいらっしゃいました。
すると・・・
「ああっ!番長!!」
と、その警察官が叫ばれました。
宇賀神先生もびっくりしてその方の顔を見ますと、
「おおっ、ΟΟでねぇか。」
と、そこにかつて先生が仙台の中学校で番長をしていたときの、まあちょっと言葉が悪いのはお許しいただきたいのですが、いわゆる昔の言葉で申しますところの「子分」の方が警察官となっていらしたのでした。
「なんだ、ΟΟ、警察官になってたのか。」
「そうですよ。でも番長、大変なことになりましたねー。これで線路まで持ちあがってたら、もっとえらいことですよ。」
「そうなんだよー。ボーっとしてたら、こんなことになっちまって。」
と、そこへ、今度は国鉄の保線係の人が線路の状況を確かめに駆けつけました。
すると、
「ああっ!番長でねぇの~!!」
と、また、その保線係の方が・・・。
なんという偶然でしょうか、事故現場に駆けつけた警察官も国鉄の保線係の人も、お二人とも宇賀神先生の中学校時代の「子分」さんでいらっしゃいました。
「番長~、えらいことですね~。これで線路の路盤が持ち上がってたら・・・。電車は停めてしまうとえらい金がかかるんですよ。」
と、保線係の方がおっしゃり、
「ちょっと、線路を確かめてきます。」
と、橋の上にあがられました。
そして、
「うん!大丈夫!線路は持ちあがってない!と、オレは見た!!」
と、なかば強引に?太鼓判を押してくださいました。
ギリギリっ、セ~フ!?
宇賀神先生、または、先生がお勤めのコンクリート会社は、多大な損害賠償を支払わなくて済みました。
ですが、
「さ、でも番長、『ボーっとしてた』ってことだけど、一応過失として調書はとらないといけないから、県警まで来てくださいね。」
と、警察署まで行き、調書を書いていただき、署名・捺印して・・・
何だかんだでうやむやのうちに「チャラ」になり、帰っきちゃったそうです。
ところが、コンクリート会社の所長さんは大変なうろたえようで、
「どうしてくれるんだ、うちは倒産だ!倒産だ!」
と、ずっと嘆かれてたそうです。
宇賀神先生が、
「いや、大丈夫なようにちゃんとしてきましたから。」
と、おっしゃっても、耳に入りません。
「宇賀神君、なんてことしてくれたんだ・・・!」
の、一点張りです。
で、皆さま、結論はもうお分かりですよね。
宇賀神先生が、ついに、
「それなら、わしはこの会社辞めます。」
と、おっしゃいました。
社長さんは、
「そうか!辞めてくれるか!君が辞めてくれるなら、退職金に3か月分の給料を上乗せしよう!」
と、もうそれはそれは大喜びなさったそうです。
ですが、ちょっとここでカッコつけの宇賀神先生は、
「3か月分の上乗せなんていりませんよ。今すぐ辞めます。」
と、あっさり退職してしまわれました。(もらえばよかったのに・・・。)
観音経を唱えておりましたときにボーっとなって大きな事故を起こし、
にも関わらず担当の警察官と保線係の人達とのコネ?のお蔭で事なきを得た宇賀神先生は、
こうしてめでたく会社を辞められました。
そして、これはやはり「佛さまの思し召し」と考えられ、一意専心、「佛の道」を進む決意をなさいました。
つまり、お経本にもよく書かれておりますように、「佛道を成ぜん。」と決意なさったのです。
観念したとも言えますでしょうか。
さすが、宇賀神先生が「氣」というものの考え方を深く掘り下げ、お修行を始められたときにはじめて出会われた佛さまが、お不動さんでいらっしゃるだけのことはありますね。
お不動さんは、右手に剣を持ち、左手には不空羂索(ふくうけんさく)と呼ばれるひもを持っておられます。
そのひもは、「言うことを聞かない悪人を、ひもで縛って無理やりにでも善なる道に連れ戻す」ためのものだそうです。
まさに、佛道にまい進せず二足のわらじを履こうとした宇賀神先生を、お不動さんが無理やり「一意専心」の境地に連れて行かれた、とは言えませんでしょうか。
「お前の行く道はこっちしかないだろう!」
と。
「わき目をふるんじゃない!」
と。
なかなかの、愛のムチ(不空羂索)ですね♥
とまあ、このようなわけで、宇賀神先生はめでたく「気功師デビュー」なさったのでした。
ですが皆さま、勘違いなさらないでいただきたいのは、このように佛さまからのお導きがあったとしましても、その後の人生が順風満帆だったなんて、あり得ないんですよ。
山あり谷あり、しかもその山は多分普通?よりは高く、その谷も普通よりめちゃ深く、まるでジェットコースターのようでもありました。
ただありがたいことに、山のときも谷のときもお不動さんと二人三脚でした。
そして後年、祖神にあたられる天児屋根命(あまこやねのみこと)さまや宇賀神弁財天さまの存在に気づかれましては、三人四脚で佛さまと神さまに両脇をがっちりと(よそ見しないように?)固められ。
ただただ佛さまと神さまのご縁に従って、今を生きておられます。
こんなに両脇から腕も足も組まれてしまっては、多分、このまま先生の寿命が尽きるときまで「よそ見」は許されませんねぇ。
ですので、いくらありがたくても、「そんな愛のムチ(不空羂索)なら縛られてみてぇもんだ( ̄∇ ̄)」なんて、ゆめゆめ思われませんように、ネ♥
合掌