治に居て乱を忘れず

宇賀神先生は、映画が大好きです。

歴史ものとかも大好きでいらっしゃいますが、実は、いわゆるパニック映画も大好きです。

最近はディザスター(大災害)ムービーとも言うのでしょうか?

地球規模の大災害が起きたり、人類が滅びてしまいそうなウイルスがまん延したり、エイリアンが襲ってきたりするような映画です。

一流映画から三流のパニック映画まで、楽しんでご覧になっています。

 

ただ、ちょっと変わっておりますのは、その映画を見ながら宇賀神先生は、

「どうやったらこの映画のストーリーの中で生き残れるか?」

を常に考えておられるのだそうです。

どこに逃げて、どんな風に立ち回ればその大災害の中で生き残れるのか、を常に考えながらパニック映画を楽しんでおられるのですって。

 

そして、「自分は何が起きても必ず最後まで生き残れる!」という、なんとも不思議な自信まで持っておられます。

私なんかは、エイリアンが襲ってきたら多分真っ先に死んでしまいそうですけど(^-^;)

 

そう言えば、小さい頃初めてテレビで見た「エイリアン2」は、子供心にめちゃくちゃ怖かったですねー。

シガニー・ウィーバーさんが演じられるリプリーという女性が、エイリアンの巣窟の奥深くに捕らえられてしまった小さい女の子を、たった一人で救出に向かうのですが。

恐ろしいエイリアンが数多くいる、その奥底へ。

あまりに怖く、その映画を見た後、当時小学生だった私は

「もしもお母さんがエイリアンに捕まっても、怖くて助けに行かれへんかも知れへん。」

と、泣いてしまいました。

すると母は笑いながら、

「お母さんはもしも綾野ちゃんがエイリアンに捕まったら、きっと助けに行くわ。

でも多分きっと途中でエイリアンに負けてしもうて綾野ちゃんのところまでたどり着かれへんわ。

そのときはごめんな。」

と、慰めてくれました。

30年以上たちましても忘れられない、母の絶妙なフォローでした。

 

ちょっと話が逸れましたね。

 

まあ、きっと宇賀神先生でしたら、そんなエイリアンの巣窟に入って行っても必ず生きて帰るという、まったく根拠のない自信をお持ちだと思います。

と申しますより、そもそもそんなエイリアンのいるところへ行かない運のよさを得るには、ということを考えられるのかも知れません。

とにかく、映画を見られるときも、惨事や災害のニュースを見られたときも、

「もし自分がその場にいたならば、どう立ち回ってその状況を切り抜けるか」

を常に考えられるそうです。

 

これを、

「治に居て乱を忘れず」(ちにいてらんをわすれず)

と、おっしゃっています。

 

どんなに平和な世の中に生きておりましても、「いざ」とか「万が一」のときのことを忘れないでいる、ということです。

 

たとえばちょっと笑える話ですが、宇賀神先生はひと頃はよく、

「歩くときは両手を空けておく。」

と、おっしゃっていました。

「どうして?」

と尋ねますと、

「忍者がいつ襲ってくるか分からないから。」

と、冗談半分、本気半分で?、答えておられました。

 

一体全体今の時代、どこに忍者がいるんだろうと思いながらも、

「ふーん。」

と、受け流すしかございませんでしたね(^-^;)

 

実際のところ、宇賀神先生は普段からあまり荷物を持たなくていいように、身軽でいることを心掛けていらっしゃいます。

ただ単に、重たい荷物が煩わしいだけかも知れませんが。

常に、色々なことに素早く対処できるように、身軽でいる。

昨日の「宇賀神先生のシンプルライフ」でご紹介した旅の荷物を、幼稚園掛けしたカバンにひとまとめになさり両手を空けておられたのも、そういう考えもあったからかも知れませんね。

今の時代さすがに忍者は襲ってはこないとは思いますが、身軽な自分でいるのは大事なことだと思います。

 

また、蛇足ですが、15年ほど前に宇賀神先生は片目を失くされたため段差が分かりづらく、そのため、ここ数年は片手にステッキをお持ちにはなっています。

しかもそのステッキも、なんと中に傘が内蔵されているという特殊なステッキです。

これで、いざというとき(突然の雨)にも対処できるという・・・。

(ここだけの話ですが、そのステッキ傘を差される先生は、まるでアニメ映画のトトロが傘を差している姿を彷彿とさせます♥)

 

そして普段は身軽に歩かれる宇賀神先生ですが、最近たまに私が重たい荷物を持っておりますと、「持とうか?」と代わりに持ってくれようとなさいます。

内心うれしく思いながらも、

「あれ、忍者が襲ってくるかも知れないから、両手を空けとくんじゃなかったの?」

と尋ねますと、

「最近はわしも年を取って、忍者も襲ってこない。」

って。

( ̄∇ ̄)

オモロイこと言うやん。

 

宇賀神先生は手荷物も身軽でいらっしゃいますが、心持ちも軽く飄々(ひょうひょう)と生きておられるようです。

そういう身軽さ、心軽さがあればこそ、「乱」が来たときも生き残っていけるのかも知れません。

心の中もミニマリストかぁ。

羨ましいかぎりです。

 

***オマケ。

totoro
トトロの傘

「このステッキ傘をブログで紹介するから、広げて持ってー。」

と頼んで撮った写真を見せますと、ご自身でも

「これじゃトトロの傘やー。」

と、笑っておられました。

テレパシーで、私が内心「トトロみたい♥」て思ってたのが伝わったのかしら?(^-^;)

 

合掌