そう言えば、うちに「もらい子のお不動さん」がいらっしゃるのですが、このお不動さんは、ひょんなご縁で30年以上前、宇賀神先生のもとへ来られました。
そのお不動さんは、昨日の水子供養のお話にでてきました、「当時の仙台では有名だった新興宗教団体」の教祖様の師匠にあたられる方?が彫られたお不動さんらしいのです。
宇賀神先生ももう正確な年月は忘れてしまわれましたが、仙台で今のお仕事をなさっていた頃、Mさんとおっしゃる女性のご相談者様がおられました。
その方が家のお掃除をなさっていたとき、押し入れの天袋を掃除しようと押し入れによじ登られました。
そして、なんと押し入れの上の段から落ちてしまわれたのです。
ひどく腰を打ちつけ、歩くのもやっとの状態で宇賀神先生のもとへとやって来られました。
先生がお加持なさり、無事に彼女は楽に歩けるようになられたのですが、そのときふと、先生に「見えて」しまったものがありました。
先生は彼女にこうお伝えしました。
「あんたが掃除しようとしていた天袋の奥に、新聞紙でくるまれて麻ひもで巻かれたお不動さんが横に寝かされて、しまい込まれているんだよ。
でもそのお不動さんは『立ち不動』と言って、立って(衆生済度のために)働きたいんだな。
だからあんたに自分の存在を知ってもらいたかったんだ。」
と。
Mさんが家に帰って押し入れの天袋を見ますと、果たして奥の方に新聞紙と麻ひもでくるまれたお不動さんの像がございました。
真っ黒に塗られたお不動さんです。
そのお不動さんは、彼女のお姑さんの遺品でした。
お姑さんは、先述の宗教団体の教祖様と共に師事していた方がおられ、そのお師匠様が自ら彫られてお姑さんと教祖様に贈られたそうです。
恐くなったMさんは、お不動さんの像を宇賀神先生のところへ持ってこられました。
先生はご覧になり、
「申し訳ないけど、これは素人の彫りもいいところだね。
その教団の信者さんにとっては価値のあるものかも知れないけれど、残念ながら一般的な佛像としての価値はないと思う。」
と、お伝えしました。
Mさんは、
「でも先生、私はやっぱり怖いから先生が貰ってやってください。」
と、おっしゃいます。
「でもあんたの旦那さんはイヤがってんだろ?
『価値のあるものかも知れない』って。
もし旦那さんが『佛像を返してくれ』ってきたら、俺は返すしかないよ。」
「うちの旦那には絶対にここに来させませんから、先生~~、何とか貰ってやってください!」
「じゃあ、一応無期限で預かるから。
もし返してほしくなったら、いつでも言ってきな。
すぐに返すよ。」
と、こうして宇賀神先生は、結局そのお不動さんを預かることになさいました。
Mさんのご主人さんは、しばらくの間「あの佛像は価値があるに違いないから返してもらえ!」と毎日のようにMさんにおっしゃっていたようです。
ですがある日を境に、ピタリと何もおっしゃらなくなりました。
そのことをMさんからお聞きした宇賀神先生は
「ちょっと危ないんじゃないかな。」
とMさんにお伝えしましたが、ご主人さんは何とそのまま、あれよあれよという間に認知症になられ、ほどなくして亡くなってしまわれました。
Mさんは、
「お不動さんがうちへ帰りたくなかったから、返せ返せってうるさかった亭主にやめさせたんだね。」
と、おっしゃったそうです。
宇賀神先生は、
「いやいや、お不動さんがそんなひどいことするはずないよ。」
とお伝えしましたが、結局Mさんは怖がられて、お不動さんを先生に譲られました。
そして何故かその後すぐ、ご主人さんの後を追うようにMさんも亡くなられたそうです。
真っ黒なお身体のお不動さんは、こうして宇賀神先生のもとへとやって来られました。
Mさんがおっしゃったようにお不動さんがMさんのご主人さんに何かなさったとは思えません・・・仮にも佛様です。
ですが、Mさんは怖がっておられたそうです。
今では、そのお不動さんは私たちの自宅にお祀りしています。
そのお不動さんは、やはり、「素人さんが彫られたのかな」という荒い彫りをなさっていますが、宇賀神先生の目に「“立ち不動”として働きたい」という意思を持って映られたのは確かですから。
昨日お話しました、水子供養をしている某新興宗教団体に関わりのある方が彫られたものですが、ご縁があったとして、うちに大切にお祀りしています。
Mさんのお話をお聞きしたときに宇賀神先生に「見えて」しまった、それがご縁となったのですね。
ときどき、ひょんな拍子にひょんなことが見えてしまう宇賀神先生。
それが「見えた」ときは、かなりの確率で当たっています。
そしてそのワザが弟子である私に引き継がれ、先生の盗み酒をかなりの確率で見破ってしまうようになったのでしょうか、ねぇ?
合掌