宇賀神先生は大胆なように見えて、じつは結構慎重なお人です。
29年前、大阪に何のあてもなく一旗上げようと出てこられたのは確かにとても大胆な行動です。
無謀と申し上げてもいいくらいかも知れません。
ですが、こと加持祈祷に関しましては、とても慎重な姿勢を貫いていらっしゃいます。
深江のお稲荷さんはこのことを、
「薄氷を踏むように」
と、表現してくださいました。
「薄氷を踏むように慎重に、どの人に対してもお加持しなさい」と。
以前の記事で、福島県の横向温泉で思いがけず、生まれて初めてたくさんの人々を不思議な力で治すことになりましたことをご紹介いたしました。
湯治にいらしていた大勢のおじいちゃん、おばあちゃん達が口々に「治った!」「痛くなくなった!」と喜ばれましたが、実はその人達が本当に治ったのかどうか、一番不安でいらしたのは宇賀神先生ご本人でした。
もしかして催眠術?とか、プラシーボ効果(その人達の思い込み)だけで痛みが取れて治ったように勘違いなさっているだけだとしたら、どうしようと思っておられました。
一時的に痛みがとれたため治ったと勘違いなさっているだけで、本当は全然治っていなかったら?
それが例えば膝が痛い方でしたら、あとでまた痛くなるだけで済むかもしれませんが(それでもつらいですけれど)、それがもし、虫垂炎などでも起こされているとしたら、痛みだけを一時的に消すことは命に関わる重大なことです。
宇賀神先生は、悩まれました。
そんなある日、当時住んでおられた仙台市のマンションの廊下を歩いておられますと、そこで数軒となりの奥さんが金魚の水槽を何やら掃除なさっていました。
宇賀神先生が横を通られますと、その方は死にそうにプカーと浮いております金魚を何匹かよけておられました。
「あらー。大変だねぇ。」
と先生が声をかけますと、
「そうなの。病気みたいなんだけど、うちの主人が大事にしてる金魚だから、きっと怒るわぁ。」
とおっしゃいました。
そのとき、ピンと来られた宇賀神先生、
「ちょっとわしに任せてみてくれないか?」
と、ご近所さんに頼まれました。
そしてお腹を横に向けてプカプカ浮いております金魚の尻尾をつかみ、
「ええいっ!」
という「氣合い」とともに、ピシッ!とムチ打つように金魚をしならせました。
そして水の中に金魚を放しますと・・・果たして、その金魚は再び泳ぎだしました。
宇賀神先生は、何匹かの死にかけておりました金魚を全てそのようにして生き返らせました。
人間で申しますところの、「喝」を入れたのですね。
金魚をムチのようにしならせることで一瞬にして背骨を整え、そのとき同時に「氣合い」をかけられました。
ご近所の奥さんはとても喜ばれました。
この件で宇賀神先生は、ご自分の力は催眠術じゃないと確信を得られました。
金魚には催眠術は効きませんし、プラシーボ効果も、金魚には無縁です。
本当に治ったんだ、と、確信なさいました。
宇賀神先生はいつも、
「わしは“無師独学”だから。」
「わしのこの技法は、誰にも教わることなく、全て自分で築き上げてきた。
どんなことを勉強すればいいのか、どんな修行をすればいいのか、誰にも教わることなくここまできた。」
と、おっしゃっています。
ですので、どうやって確かめればご自分のこの力が幻想や催眠術ではないと分かるのか、それも含めまして全てご自身で考えられ、一歩ずつ進んでこられました。
まさに手探りで、ご自身の手と足とで確かめながら、一歩一歩進まれ、今日に至ったのですね。
死にかけておりました金魚に試してみよう!と思いつかれたのも、さすがだなぁと思います。
金魚には催眠術も効かないもんね?って。
お蔭様で後年、ワンちゃんやうちのぴーちゃんも助っております。
宇賀神先生がどなたに師事されることもなく、全てご自身で築き上げてこられたからこそ、慎重に、慎重に。
これからもこのご姿勢を貫いていただきたいと思います。
合掌