本物のテレパシー(超能力の一種)を使う人 その3

マスター・スジャンタは、宇賀神先生とY先生にのみお会いすることを期待なさっていましたが、その他の方達もたくさんいらしてしまいました。

そのため、深いことを伝授なさるのではなく、彼の能力で知ることのできます未来などをお伝えしましょう、という霊能占い&人生相談大会になってしまいました。

 

ご相談なさりたい方を目の前にしますと、マスター・スジャンタは一瞬、目をクルッと白目になさり、たった一瞬でその人につきましての色々を話し始められました。

どうやら白目になられるその一瞬に彼の秘密がございますようで、どなたが何をご相談なさいましても、お聞きになってないことまでピタリと言い当てられ、その場に居合わせられた他の方達まで皆さん大納得なさるほどの精度でした。

 

ただ一つの大きな問題は、通訳でした。

マスター・スジャンタが話される言葉は、母国語でありますインドネシア語と、ひどいオランダなまりの英語です。

そこに、インドネシア語を少しだけ理解なさるフィリピン人の英語を話される女性。

そしてY先生ともう一人、英語を少し理解できる日本人。

と、相談なさる方をいれますと、なんと合計4人で外国語を使った伝言ゲームをしないといけないような状況でした。

宇賀神先生いわく、

「だんだん“しっちゃかめっちゃか”になってきた。」

そうです。

 

するとマスター・スジャンタが、宇賀神先生の方をご覧になりながら片目でウインクなさり、

「テレパテ!テレパテ!」

とおっしゃったそうです。

どうやらオランダなまりの英語で「テレパシー」とおっしゃりたかったよう。

突然、宇賀神先生の頭の中に彼の考えが流れ込んできました。

先生は、

「テレパシーでわしの頭の中に話してよこすから、通訳しろということだな。」

と、すぐに理解なさいました。

 

そこで、宇賀神先生がしっちゃかめっちゃかになっております伝言ゲームの方達に、

「マスター・スジャンタは、多分こう言ってると思うよ。」

と、先生がマスター・スジャンタから“直接”お聞きになったことをご相談なさった方と通訳してくださる人にお伝えし、マスター・スジャンタに逆戻りしていくような方向に伝えていきました。

そうしますと、

「グーッド!(いいね!)」

と、マスター・スジャンタは嬉しそうにおっしゃいました。

 

「えっ、宇賀神先生は彼のインドネシア語とオランダなまりの英語の混ぜこぜが分かるの?」

と、皆さん不思議がられましたが、先生は、

「いやいや、彼の考えがテレパシーで直接頭の中に入ってくるんだよー。」

と、ご説明なさいました。

 

それからはどなたかがご相談なさるたびに、マスター・スジャンタの答えが宇賀神先生の頭の中にテレパシーで入って来まして、それを逆たどりに通訳していきましては、

「グーッド!」

と、マスター・スジャンタがおっしゃる、という形で最後まで霊能占い大会は進みました。

 

そして、宇賀神先生は特に何を悩んでおられるわけでもありませんでしたので、何もお尋ねなさいませんでしたが、マスター・スジャンタは、

「あなたは胃が弱いからマンゴーをたくさん食べて、ピーナッツオイルを毎日ティースプーンで1杯飲みなさい。」

と、おっしゃいました。

 

確かに宇賀神先生は胃が痛くなりがちで、当時はよく胃薬も飲まれていました。

そんなことは何ひとつマスター・スジャンタにおっしゃったわけではありませんでしたが、彼は見抜かれました。

ただ、ピーナッツオイルはあまり日本人にはなじみがなく、おなかを下し気味になりますとか。

マンゴーも先生はそんなにたくさん召し上がる習慣もなく、彼のアドバイスはそのままとなりました。

 

ですが後年、宇賀神先生が人生最大の危機とも申しますべき状況に陥りましたのは、今になって考えますと、胃潰瘍で倒れられ入院なさったのがきっかけでした。

あの、うつ病のようになり、湯の峰温泉に通うことになりました時ですね。

マスター・スジャンタは、そのような大きな厄災に先生が見舞われますことを感じられていたのでしょうか?

(それだったら、そこまで教えてくれても良かったのにー、とは行かないのが世の常でしょうか。)

 

とにかく、マスター・スジャンタのおっしゃったことは、その場に居合わせた皆さんが納得せざるを得ないようなことばかりで、人の前世から亡くなったお身内のことから、何もかもをズバリと言い当てておられました。

 

そしてまた、宇賀神先生がマスター・スジャンタのように明確で子細な思考をテレパシーで送ってくる人にお会いしたことは、後にも先にも彼以外ございません。

私からしましたら、それを余すところなく正確に受け取られ、伝えられる宇賀神先生もすごいなぁと思います。

どなたもでも受け取れるわけではありませんからね。

 

(その4につづく)

 

合掌