黄金色の龍

3日間ほどご無沙汰いたしております。

出張方々、出かけておりました。

更新をお休みしておりました間にもブログページを訪れてくださった方達がいらして、とてもありがたく存じております。

 

この場をお借りし、御礼申し上げます。

 

さて、このブログに度々登場していただいている深江のお稲荷さん、私はつい親しみを感じて“様”ではなく“さん”付けで呼ばせていただいていますが、本当はお茶目なヤキモチ焼きさんでもおしゃべり好きさんというだけでもありません。

それぞれの神様によってまた色々な性格?の違いを感じたりもしますが、深江のお稲荷さんは本当にお心の温かさと広さを感じられる神様です。

お参りさせていただき、手を合わせ目をつぶりますと、まぶたの中に温かな太陽が見えるようです。

 

さて、今日7月31日と8月1日は、そんな深江のお稲荷さんの夏祭りです。

こぢんまりとした境内ですが、いくつかの露店と、深江の昔ながらの“菅笠”(すげがさ)のミニチュアを作って売っておられたり、最近では“菅の輪くぐり”などもなさっています。

8月1日には、だんじり(地車)の巡行もあります。

私はこのだんじりが大好きなのです。

毎年、見に参ります。

 

特に、だんじりの最後の見せ場が好きです。

ちょうど神社のすぐ手前の大通りの交差点で地元の人が「舞い舞い」と呼んでおられる、だんじりが神社に帰り着く直前の、迫力ある最後の見せ場です。

交差点で信号が変わったスキにだんじりが大通りを大急ぎで渡り、渡りました先で急ブレーキをかけ、紙吹雪をまき散らせながらだんじりの上と下で人々が踊りさわぎ、音と光とともにそれはそれは賑やかな見せ場となります。

それを何度も繰り返すのです。

 

あれは数年前の夏祭りでした。

私はいつものようにその「舞い舞い」を見に行きました。

そしてそこで生まれて初めて見ましたものは、「黄金色の龍」でした。

 

私がおりました交差点の向こう側にだんじりがおりました。

交差点を往復するのが終わりましたのか、ちょっと休憩なさっていましたのか、ずっと向こう側にとどまる形でだんじりがおりました。

向こうでライトに煌々と照らされて、ちょうど私から見まして左側に正面を向けております形でだんじりがおり、お囃子とともに人々が踊り、紙吹雪が舞っておりました。

そのライトがオレンジ色に近い光(白熱電球)のせいだったのかも知れません。

だんじりと、その周りが金色に輝いて見えました。

 

そして、あっと気がつきますと、だんじりと重なるように大きな大きな黄金色の龍の頭が見えたのです。

だんじりの龍の頭に続いて、大通りに沿うように右に向って大きく波打つようにうねる龍の身体が横たわっています。

その龍の胴体は、太さが大通り沿いの家々よりも大きいほどで、長さは果てが見えないほど続いておりました。

龍の身体が、夜の暗闇のなかキラキラと金色に輝きながら、大通りに沿ってうねるようにどこまでも続いていたのです。

一体どこまでの大きさがあるのでしょうと、驚きました。

そして、だんじりの上から巻かれる紙吹雪も、金色にキラキラと光っています。

まさに、龍が口から火を噴いている光景に見えました。

 

その黄金色の龍を見た瞬間、私の目からは涙が溢れ、とまらなくなりました。

私は神さまや佛さまにお会いしますと、いつも自然と涙が出てきてとまらなくなります。

怒涛のような幸福感に包まれて、瀧のように涙が流れるのです。

 

深江のお稲荷さんが、龍のお姿で現れられるなんて、思ってもみませんでした。

たしかに宇賀神弁財天さまは頭の上に蛇体を持つ白鬚のおじいさんをのせておられますし、また、だんじりの上で踊る踊りは、どなたかは“龍踊り”とおっしゃっていました。

踊る人の手で龍の動きを表しているのでしょうか?

ですが、いつもは温かな太陽のような光の大きな玉?で拝見するお稲荷さんが、黄金色の龍に見えるなんて、思ってもみませんでした。

 

人々が嬉しそうに騒いでおられる中、私は身動きできずに涙を流しながら、ただただその龍に見とれておりました。

 

本当は、ずっと見ていたかった。

ですが、あまりにも泣き続けておりますことにだんだんと恥ずかしくなり、「舞い舞い」を最後まで見ずに立ち去ることにしました。

やはり長年住んでおりました地元ですから、当然私の顔を知ってくださっている方達もおられるわけで、後日どなたかが私の両親に

「あんたはんとこの娘さん、だんじり見て泣いてはりましたで。

どないかしはったんでっか。」

とでもおっしゃいましたらちょっと恥ずかしいじゃないですか。

常識人のワタクシといたしましては、涙を隠すようにこそこそと帰ることにいたしました。

ですが、本当は離れたくなかった。

まばたきするのも惜しいほどに、ずうっと、ずうっと、見ていたかったのです。

 

後ろを振り返り、振り返り、しながら家に帰りましたが、だんじりが見えております間中、それは黄金色の龍でした。

あんなに不思議で美しい光景が見えるなんて、本当に幸せでした。

やはり恥ずかしさを顧みず、ずうっと眺めていたらよかったのでしょうか。

 

本当は、この黄金色の龍の光景は私の宝物で、世界中から隠して自分だけのものにしたいと思っています。

正直な気持ち、独占欲です。

ですが、宇賀神先生と同じように、私の大好きな深江のお稲荷さんのことを、世界中から隠して自分だけのものにしたいような、世界中の人にその素晴らしさを知ってもらって、世界中の人から好きになってもらいたいような。

そんな相反する気持ちがあります。

どちらも本当の気持ちで、我が心ながら、女心は少々フクザツですね?

 

残念ながら、あの日以来、黄金色の龍を拝見するご縁には恵まれておりません。

ぜひもう一度、いいえ、もう何度でもお会いしたいと願っておりますが、今のところは後にも先にもあの日だけです。

きっといつかまた、お会いできる幸運に恵まれますように。

明日はいよいよだんじり巡行の日です。

 

 

(申し訳ありません。このページを公開する前に日付が変わってしまいました。“明日”を“今日”としてお読みくださいませ。)

 

合掌